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学振DC奮闘記【面接も書類にも落ちた人だからこそ伝えたいこと】#1 申請書を書く時の見た目

  • 執筆者の写真: 土田 亮
    土田 亮
  • 2019年10月8日
  • 読了時間: 8分

更新日:2020年11月4日


Photo by Cytonn Photography on Unsplash

みなさん、こんにちは。

京大の大学院生で、洪水の防災対策について研究しています、土田と申します。

 


今回はいつものブログとは違う趣旨のものを書いていきたいと思います。


 

題名の通り、

学振(DC1, DC2, 若手研究者海外挑戦プログラム)の書類と面接のアドバイスに関してです。



これらの大概の情報は、現在ではとてもありがたいことに、

第1の関門である申請書についてのアドバイスについて書籍やネットで

豊富に公開されています。



しかし、今回のブログはそういった成功体験記の類ではありません。

「採用された人」の立場からではなく、

かなり惜しくも不採用になってしまった」人からの立場です。

(自分でこういう言い方をするとなんだが恥ずかしいですが…)。



もちろん、僕が惜しい結果まで行けたのは当然のことながら、

先人たちの偉大な「努力の積み重ね」があるからです。

それを惜しげもなく、「ふむふむ、なるほど!参考になります!」と

それとなくエッセンスを抽出して、

それとなく審査員に伝わったということに過ぎません。

とはいえ、その努力の積み重ねは私が計り知ることはできないものだと思います。



一方で、失敗から学ぶことも大いにあると私は思います。

「これは絶対にするべきだ!」とか「もっと工夫してやるべきだったなー」とか

「これは次絶対にしないぞ!」とか「AとBどちらでやろうか迷った」とか。

多分そういう申請書におけるしくじりを紹介したものは少ないかもしれません。



そこで、このページではそういう教訓をできる限りここでご紹介したいと思いますし、

参考になるコンテンツも紹介します。





さて、「あなたはどのような結果だったのですか?」という声も上がるかもしれません。


あけっぴろげに書くものでもないですが、事実、私は

☆DC1(2019年度採用)→書類審査…面接あり合格、面接審査…補欠合格、              最終結果…不採用

☆若手研究者海外挑戦プログラム(2019年度採用) →書類審査のみの結果…補欠合格(なお今現在もこの状態…)

☆DC2(2020年度採用)→書類審査…不採用A(最新)


の結果となりました。

(書類は上欄More>memoにアップロードしてあります)





ここでは、ポイントを絞って5つ

① 申請書を書く時の見た目

② 申請書を読む時の分かりやすさ

③ 申請書を出す時のチェック

④ 申請者を出した後の時間の過ごし方

⑤ 結果をもらった時の対応

を書いていきたいと思います。



そもそも「学振ってそもそも何ぞや」だったり「どの分野に出せばいいのか」だったりを

考えている人は下のslideshareのページをご覧ください!

東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 助教 大上雅史 先生





それでは早速失敗談から学んでいきましょう!

一気に5つは私にとっても読み手にとっても膨大な時間がかかりそうなので、

まず今回は①「申請書を書く時の見た目」をまとめていきます!




① 申請書を書く時の見た目

 申請書の書き方ではありません、より客観的に自分を、そして何がしたいのかを見つめ直そう、という意味での「見た目」です。



 申請書を書くにあたって見た目はかなり大事で、たくさん書いて自分の凄さをアピールしたい気持ちもありながら、読みやすい書類を心がける必要があります。



 ごちゃごちゃ御託を並べたような、陳腐な言葉を並べても審査員には何も響きません。

 「なるほど、確かにそうであるし、着手するべきだ!応援してあげたい!」と自然と思っちゃうような書類内容であるべきです。



 まずは申請書のフォーマットに則ってなんとなく研究背景、課題、課題解決の方法と意義を埋めてみましょう。そして、自分の分野の申請書をなるべく集めて、うまい書き方を真似してみましょう。



 「うまい書き方」とは、例えば、


・第1に見た目の綺麗さ(余白、タイトル、インデント)

・全く違う分野でも「あーなるほどね!面白いね」と思えるような書き出し3行

・専門用語もすっと分かってしまう、適切な枕詞

・項目に沿って書かれた完結したストーリー展開

・この研究をやることで解決する課題のインパクトの大きさ

・見ただけで何が言いたいか、展開がわかる、図や写真、ポンチ絵

・結局、この研究をやることで何の意味があるの?という  "so what?"に答えられる論理の明快さ

・無理のない目的・計画の実現性、研究倫理の書き方


 です。




 特に、


全く違う分野でも「あーなるほどね!面白いね」と思えるような書き出し3行


結局、この研究をやることで何の意味があるの?という  "so what?"に答えられる論理の明快さ


 の2つは僕としてはきちんと考え抜くべきかなと、失敗したからこそ思います。




 1つ目について、「あなたは何者なの? あなたは何を究極の目的にしているの?」というのはさっさと書き出しに持ってきて、今後の研究紹介の論理を明快にするべきです。



 小論文で言うなれば、「双括型(結論を頭と尾に持ってくる、この2つの間は理由を持ってくる)」です。



 要するに、数十人の書類を多忙な研究や会議などの合間に読む審査員にとって、最初の1ページ目、さらに言えば、最初の読み出し3行で審査員の心を掴まなければ、いい印象として残らないかもしれません。



 じゃあ書き出しはどう書けばいいの?ということで、

 テンプレートの例を挙げるならば、



「申請者は、(問題・課題)に対して、(最終的なゴール)を目標に、  (今の研究の目的)する研究をしている。」


 といった感じです。




 この文章はうまいこと、砂時計型の構造になっています。



 つまり、

 ・問題・課題(砂時計の上) 

  …大局的な視座に立って書く。

 ・今の研究の目的(砂時計のくびれ、オリフィス) 

  …その中のごく小さいポイントを書く。

 ・最終的なゴール(砂時計の下) 

  …そのポイントを達成することによって得られるインパクトを記す。    これも巨人の肩に乗ったような気持ちで書く。


 になっています。

 文章にするときは少し順番が異なりますが、その分言葉が洗練されます。




 そして、テンプレに言葉を入れる際にも気をつけるべき点があります。


・なるべく専門用語を羅列しない

・かといって平易すぎるワード並びにしない

・問題・課題と今の研究の目的、最終的なゴールは、  文章を見ただけで明確な関係性があるのか

・今の研究の目的は具体性を帯びている


 応用編として、最初の書き出しを疑問文にするということもできます。

 ここで気をつけるべきことは3つで、

 ・仮説検証/仮説生成的な疑問にすること

 ・ミクロ〜メソ的な視点から解くべき重要な課題を提示すること  ・答えは確実に文中、例えば研究成果に作るように応答すること   もしくはまだ答えられなくても、今後の研究計画で答えられるような問いを作ること


 以上の点を気をつけると、見出しから審査員の心を掴むようないい見た目になります!






 さて、第2に、自分の研究をしっかりハンドリングし、  言語化するためにも"so what?"に答える必要があります。



 so what?は「だから何?」という意味です。

 これを聞かれた時のほとんどは、研究の意義やインパクトを答えることが多いですが、

 むしろ「その結果から私たちに何をもたらすと言えるのか」

 ということです。


 

 これは自分の専門分野の高度化や発展のみにとどめるのは

 視野が狭いと見られてしまいます。

 また、過去、現在だけの視点で研究の凄さを語られてもいまいちパッとしません。


 

 つまり、他分野にも及ぶインパクトで、かつ、自分があるいは描かれ得る社会が導く  未来像を提示しなければなりません。



 下手に言葉をこねくり回しても、あなたの意思の薄さが引き延ばされるだけです。

 (本当は本人に情熱があるのはよく分かりますが…。   私はよくこれをやりがちで指導教官にめちゃ怒られました…)


 また、実は先ほどの書き出しのところにつながります。

 だいたいは「最終的なゴール」と同じになりますが、パラフレーズする必要があります。


 例としては、


 ・最終的な研究結果を基にした柔軟な政策意思決定の実現

 ・リスク要因である◯◯の可視化を精密に行うことで、   真に必要なエビデンスを提示することが可能となる

 ・グローバル問題を解決する上で、本研究は先導的な社会実践となる


 とかです(あまりゴタゴタ言うと文章の構造がよくわからなくなります)。







 そんな感じで今回は① 申請書を書く時の見た目のコツを紹介しました。


 簡単に要点をまとめると、


 ◯ 「なるほど!面白いね」と思えるような書き出し3行


 ◯ 結局、この研究をやることで何の意味があるの?に対する答え


 を今のうちに作っておきましょう!  きっとキラーフレーズとして今後の研究活動に役立つでしょう!


 書き出しや答えについては、  参考になる論文や書籍を読んで、自分の研究の魅力が伝わってしまう言葉を  徹底的に追求しましょう!






 今後要望や質問などがあれば、細かい失敗事例や経験則を出していきたいと思います。


 また、あくまでここで紹介しているのは、こて先というか見栄えがよくなるような  文章のテクニックにすぎないので、実質言葉を錬磨するのはあなたや指導教官との  やりとりですので、しっかり考えてください!


 じゃないと、見た目だけの中身ない  申請書だなと手抜きがバレますよ!

 

 あと、しっかり研究成果を出してくださいね!




 それでは皆さん、健康に気をつけてお過ごしください!



*参考までに*

めちゃくちゃ参考になるサイト、書籍

◯サイト

…ありがたいことに申請書が見れますし、とても分かりやすい書類、記事なので執筆の際は大変重宝しました。お世話になりました、本当に有難うございます。


…DC1のときにはまだこれは出ていなかったのですが、DC2を書くときには公開されており、とても参考になりました。お世話になりました、本当に有難うございます。


◯書籍

 どちらも思わず書評を書いちゃったほど名著で、他分野の人でも(むしろ、全く違う分野だわと思っている人ほど)学問や研究を再考する上で重要な本だと思います。

 学問、それそのものに何の意味や意義を自分にまとわせて、アカデミックに、ロンリーに生きていくのか、ぜひ読みながら考えたい本です。


 
 
 

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