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Research

現在の研究の関心

1. 在来知を用いた復興過程とレジリエントな地域社会の構築
∟スリランカ(サバラガムワ州ラトゥナプラ県ラトゥナプラ市およびケゴール県)など
地域固有の文化や集団,生活習慣,住民らの被災経験や知恵,すなわち,在来知を利活用した災害復興の枠組みをいかに構築するかに関心を寄せている.特に洪水や土砂災害といった水害が頻発する地域では,在来知により地域の脆弱性を迅速に補うことができるという理由から,被害を減らし災害回復力を有する地域社会,言い換えれば,レジリエンスの高い地域社会を構築する必要がある.そこで,水害常襲地において在来知がレジリエントな地域社会の構築に効果を発揮する条件を解明すること,在来知を利活用した復興過程とレジリエントな地域社会の実現に向けた枠組みを構築することを目的としている.
 

2. 外的変化(災害,移転)に伴う人間環境社会のデザイン

∟スリランカ(サバラガムワ州ラトゥナプラ県ラトゥナプラ市およびニヴィティガラ市),日本(福岡県福岡市東区箱崎,箱崎キャンパス移転)など
今日の気候変動や都市改変といった急激な外的要因による変化に伴い,人間環境社会は大きく変容しうる.そこで実際に人間・環境・社会の各側面から見た時どのような内在したレジリエンスがその変容を受容していく,あるいは関連しあっているのだろうか.この問いに答えるべく,実際にその過程を参照し,レジリエンスの仕組みを明らかにするとともに,外的変化にレジリエントで望ましい人間環境社会のデザインのあり方を探求する.

3. 水災害の恩恵と被害のトレードオフから考えるオルタナティブな生存

∟スリランカ(サバラガムワ州ラトゥナプラ県ラトゥナプラ市)など
災害のリスクマネジメントの戦略には、一般には、災害の発生可能性と被害の大きさに応じて、低減・保有・回避・移転の手段がとられる。しかし、これはあくまで被災を前提にしたものであり、災害がもたらす恩恵から見る戦略の蓄積は多くない。

調査対象地であるラトゥナプラ市は、洪水常襲地であるとともにその洪水によって宝石の原石が運搬されるため宝石の産出および産業地でもある。宝石彫刻師および商人は災害リスクを被ってでも宝石を探し、見つかればチャンスであるが、見つからなければ借金を背負いながらも生きることになる。こうした不確実性を、ある見方からすれば彼らがしたたかに飼い慣らすようなオルタナティブな生き方について、災害の経験とトレードオフ、生活世界、負い目・やりくりから考えてみたい。

4. 災害の倫理とケアの倫理のあわい、パッチワーク的レジリエンス

∟日本(佐賀県武雄市、石川県七尾市など)

上記のような研究プロジェクトに携わる中で、しばしば「歴史的、あるいは気候変動の影響で何度も災害が起こる/起こりうる地域に住み続けているのだから、そこで被災するのはそこに住まう人が悪い」「何遍も災害に遭う地域に住む/住むことを選んだ私や親が悪い」という意見も聞く、という声を(又聞きも含めてだが)聞き、大きく情動を揺さぶられる。それはともすれば、自己責任や自己帰結を伴う新自由主義的な社会との共犯関係の中で災害や人々・社会の共生を強いられることの常態化を容認してしまいかねない。

防災への公共投資や持続的な支援が困難になり、事後復興の限界から災害が起きる前のまちづくりの方針を決める事前復興への転換が起きたとき、そこには歴史や地理的条件を含む地域性が防災・復興のあり方に一貫して反映される、との仮定が伴っていたはずである。しかし「地域」のどのような特徴が災害の制度や災害に強いまちづくりに反映されるのかについては、十分に検討されてきたとは言い難い。本研究はこの問題を念頭に置きつつ、災害の倫理をケアの倫理で置き換えた時、どのようにしてその意見を向き合えるか。災害時の圧倒的な現場、あるいは未来に起こりうるかもしれないカタストロフィに向けた個人・地域に内在するチグハグな状況において、私たちは現実にどのように向き合い、それに対処するべく、継ぎ接ぎ(=パックワーク)にレジリエンスを繋ぎ合わせているのか。環境人文・社会学、倫理学、建築・都市計画学、社会水文学を交えながら生活の深層から立ち返り、現場から応答する問題・研究の姿勢を考察する。

★Working paper about my previous research (2018/05/31)
箱崎九大跡地ファン倶楽部 特集 建物と人
"場所の喪失が地域愛着に及ぼす影響に関する研究 -九州大学箱崎キャンパスとその周辺地域を事例として-

<click the below site, and you can see my working paper when I wrote a graduate thesis in bachelor degree at Kyushu University where was my former university> 

http://love-kyudai.jp/journal/685

★Introduction about my research (2018/04/07)
<click the below site, and you can read in Japanese>
https://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/blog/2018/04/05/20180325

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